消費税導入と裏に隠された歴史、赤字国債発行の歴史

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参考文献:「これが日本の民主主義!」池上彰 集英社

この記事を読むと、

「国が消費税導入に成功した理由」

「増税は何が問題なの?」

という疑問を解決することができます。

国民の心理を操り消費税導入に成功した

キーワード

「消費税導入します。だだし中小企業は払わなくていいですよ。さらに払わなくていい消費税分のお金は、まるまる利益にしていいですよ。」

「税率5%はあまりにも国民の負担が大きすぎるので絶対ダメです。許しません。3%にします。」

国が消費税増税をする理由(論法)

国の財政再建のため

「我が国には1000兆円の借金があり、借金大国なのです。」

「こんな多額の借金を未来の子ども達に背負わせることができますか。」

「背負わせないために、税金を上げることを少しだけ我慢してみんなで頑張りましょう。」

これが国が消費税増税をする理由(論法)です。

消費税の歴史

[間接税](貧しい人に厳しい税)

:消費税・酒税・たばこ税など

[直接税](お金持ちに厳しい税)

:所得税・法人税・相続税など

[累進課税](所得税・法人税など)

:所得が高いほど税率が上がる

[1947年:シャウプ税制]

・間接税から直接税への切り替え
・財政法による赤字国債発行の禁止

戦後、GHQの指導の元、シャウプ税制というものが敷かれました。

当時、間接税主体だった日本は、直接税主体に切り替わりました。

貧しい人から税金を多く取るのはやめよう。

その代わり、お金持ちから税金を多く取りましょう

というものです。

さらに、財政法で赤字国債(国の借金)の発行を禁止しました。

禁止した理由は、
戦時中、日本で行われていた赤字国債の発行とその使用方法が、ケインズ理論に反していたためです。

ケインズ理論

赤字国債(お金を刷ること)を増やし、それを国(内需)の為に使用し、景気を回復させるという理論。

ただし、景気が回復し収益化した場合、速やかに国債の返済金に充てること。

でなければ、いずれ経済は悪化する。

戦時中の日本と国債発行

ところが当時の日本はこのような状態でした。

赤字国債発行で得たそのお金の半数が戦争資金(軍資金)に使用されていました。

そもそも、赤字国債を大量に発行できるようにした人物は高橋是清(たかはしこれきよ)当時の大蔵大臣です。

しかし、これが戦争資金に使用しすぎるのはケインズ理論に反することを彼は知っていました。

そして、大きな付けが回ってくる前に、戦争資金の大幅削減を行おうとしました。

しかし、これに反対した軍司令官らのクーデターにより、高橋是清は暗殺(ニ・ニ六事件)されてしまいます。

こう言った歴史の経緯があったため、GHQはシャウプ税制で

・間接税から直接税への切り替え

・財政法による赤字国債発行の禁止

を命じました。

日本は禁じ手である赤字国債を過去に二度発行している

財政法により赤字国債の発行は禁止されていましたが、この法には抜け道がありました。

「赤字国債の発行は原則禁止とする。
だだし、使用目的が明確で、収益化が見込め、財政難の
場合はやむなしとする。」

これにより、過去に二度、特例として国債を発行しています

以下の通りです。

1965年:オリンピック不況で発行

1973年:オイルショックで発行

東京オリンピック終了後から起きた不況の際に国債を発行

原油価格の高騰による世界経済の混乱時にも発行

国が消費税導入に成功した理由

竹下総理が消費税導入に成功した理由は、

消費税導入が国民にとって悪くないと思わせることに成功したためです。

竹下総理の論法は以下の通りです。

①「消費税導入します。だだし中小企業は払わなくていいですよ。さらに払わなくていい消費税分のお金は、まるまる利益にしていいですよ。(益税)」

→これにより中小企業は消費税導入賛成派が激増します。

②「中曽根前総理が言う、税率5%はあまりにも国民の負担が大きすぎるので絶対ダメです。許しません。3%にしましょう。」

→3%に引き下げてくれるの?いい人。と国民がなる訳です。

③「消費税はみんなの為に福祉財源として使用させていただきます。」

→国民の為に使うなら、まあいいか。

これにより、竹下総理は消費税導入に成功します。

竹下総理が消費税導入をする前に、消費税導入を試みた総理大臣はいましたが、国民の反発が強すぎて、彼らは断念しています。

選挙前に消費税導入を提言した際には、国民の反発が強く、選挙にことごとく負けてしまうなんていうこともあったようです。

このことから、政治家たちは学びます。

「選挙前に消費税増税の話はヤバイ。」

ということを。

増税を繰り返し、現在の税率10%になるまでに、上記で述べた法則を実は繰り返し使用しています。

菅総理「税率10%に上げます。」

国民「ふざけるな。」

野田総理「それじゃあ、8%からではどうでしょう。」

→可決

安倍総理「増税を延期します。」

国民「安倍総理いい人。」

安倍総理「増税をもう一回延期します。」

国民「安倍総理いい人。」

選挙が終了して少し経った頃、

安倍総理「税率10%にします。ただし、生活必需品は上げませんよ。(軽減税率)」

→可決

国民「軽減税率?いい人。」

このように消費税導入が国民にとって悪くないと思わせることに成功したため消費税導入が叶いました

消費税増税は何が問題なの?

間接税である消費税は一般国民に厳しい税金であるため、一旦、GHQの指導の下、直接税に切り替わりました。

しかし、現在は間接税である消費税が導入され、さらには増え続けていることが問題であると言っています。

別な視点で言うと、
今の日本経済状況下では、直接税を増やせば大企業が日本から撤退してしまう危険性があります

おわり。

参考文献