暗号資産(仮想通貨、暗号通貨) この先避けては通れない!仮想通貨の歴史・知識・教養・未来予測

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参考文献:
「仮想通貨3.0」マルク・カルプレス 講談社

今回は暗号資産(仮想通貨、暗号通貨) について紹介します。

「そもそも通貨って何?通貨の歴史」

「通貨の役割(定義)」

この2つを理解すると、
暗号資産(仮想通貨、暗号通貨) がより深く知ることができます。

ブロックチェーンと仮想通貨

5G時代4種の神器の1つにブロックチェーンがあります。
このブロックチェーン技術を使って作られた物が[仮想通貨]です。

※ ブロックチェーンについては、「ブロックチェーン本質は技術でなく思想にある ブロックチェーンが人類の未来を変える」の記事で紹介しています。

※5G時代4種の神器:IoT、クラウド、ブロックチェーン、AIの4つです。

そもそも通貨って何?通貨の歴史

①通貨が生まれる前は物々交換

私たちが生まれるはるか昔の原始時代は、物々交換をしていました。

「私、肉獲った。」
「俺、どんぐり獲った。」
「肉ひと切れと、どんぐり30個、交換しよう。」

ということです。

しかし、物々交換には難しい側面があります。

それは、交渉相手が見つからない時です。

例えば、

「俺が持っている肉と、あなたが持っている魚を交換しようよ。」
「私、肉欲しくない。私の魚とどんぐりを交換したい。」

というような時です。

つまり、
欲しい物が直で交換し合えないという難しさがあり、また、肉などの生ものは鮮度の問題もありますのでなおさら不便な状況でした。

②通貨としての貝や金・銀

物々交換の不便さを解消するために考えられたのが通貨です。

価値のある何かを中心に置けば、物を交換しやすいのではないかと考え、始めは綺麗な貝や石などが物々交換の仲介の役割として使われていました。

ある村では貝で違う村では石を通貨として使っていたものが、徐々にみんなが等しく価値のある物に変わって行きました。

それが世界的に希少な物だった金や銀です。

しかし、金や銀には欠点がありました。それはシンプルに「重い」ことです。

つまり、持ち運びが大変だったのです。

③紙幣(交換券)の誕生

金や銀は持ち運ぶのが大変だという欠点がありました。

そこで、その欠点を無くした紙幣が誕生します。

もともと、紙幣は金や銀の[交換券]としての役割でした。

政府が蔵に収めている金や銀を、いつでも交換できる券として発行したため、その交換券には信用と価値が生まれたわけです。

④紙幣そのものに価値を持たせた(交換なし)

今までは、あくまで金や銀と交換するための交換券としての紙幣でした。

つまり本当の価値や信用は金や銀にありました。

これを金本位制度(1816年、イギリス)と言います。

⑤金本位制度から管理通貨制度へ

※管理通貨制度(アメリカ):紙幣を刷ることで景気や財政を調整する制度

金本位制度から管理通貨制度へ切り替わるきっかけとなったのがベトナム戦争です。

当時、アメリカがベトナム戦争で大量のお金を使いました。

このままでは国の財源である金や銀が無くなり、国の景気が悪化することを恐れた、当時のアメリカ大統領のニクソンが、管理通貨制度を打ち出します。

つまり、紙幣と金や銀の交換をやめて、紙幣そのものに価値を持たせましょう、というものです。

しかし、言い方を変えれば、これから交換券は金や銀に交換できません、ということになります。

これが、ニクソン・ショック(1972年、アメリカ)です。

通貨の役割(定義)

通貨の役割は以下の3つにまとめられます。

①価値の尺度として使える

¥10,000のステーキと¥1,000のステーキの場合、

¥10,000のステーキの方がいいステーキ、価値のあるステーキだということが信用ベースで理解できるということです。

②価値の貯蔵手段として使える

例えば、サバを通貨とした場合、貯蔵していたサバは腐って価値は無くなってしまいます。

つまり、通貨は貯蔵していても価値が減らないということです。

③決済手段として使える

物を買う時や何かの支払いをする時に使うことができるということです。

よって、
この3つを満たしている物が通貨として使用できる、逆に言えば、満たしていない物は通貨ではないということです。

ビットコインの歴史

新しい通貨の思想

2008年、サトシ・ナカモトと名乗る人物が、ネット上で論文を発表します。

その内容が、

「ブロックチェーン技術を使えば通貨が作れるよ。」

というものです。

サトシ・ナカモトは
「国や銀行が支配している金融が全てではない。

お金の価値を誰か偉い人が保証するのではなく、みんなでチェックし保証し合うシステムがあれば、僕たちはもう搾取されることはない。」

と言っています。

つまり、お金の管理体制を、中央集権型から分散型の平等な体制にテクノロジーの力で変えることができるということです。

ビットコイン誕生

2009年、ブロックチェーンの仕組みを使ったソフトウェアがオープンされます。

そして仮想通貨(ビットコイン)が作られます。

ビットコイン・ピザ・デイ(2010.5.22)

まことしやかに広まっていたビットコインに、ある日事件が起きました。

ビットコインとピザが交換できたのです。

10,000BTC=ピザ2枚に交換出来ました。

ビットコインが通貨として利用出来たこの日を、
ビットコイン・ピザ・デイと呼んでいるそうです。

世界初のビットコイン取扱所

マウントゴックスという会社が世界で初めてビットコイン取扱所を作りました。

マウントゴックスは元々マジックザギャザリングというカードゲームのカードをネット上で交換するサービスを提供していた会社でした。

ManicTheGatheringOnlineEXchangeの頭文字をとって

MTGOX(マウントゴックス)です。

ビットコインを知った創業者のジェド・マカレブは、
価値のある物を交換するという共通点から、
カード交換のシステムを流用してビットコイン取扱所を作りました。

マウントゴックス事件

徐々に仮想通貨の人気が出てきた頃、
マウントゴックスは有名なタイム誌に特集されました。

「仮想通貨が新しい通貨の歴史を作れるかも知れない」

ということで、一気に人気が爆発しました。

その直後、
ビットコイン取扱所がハッキングされてしまいます。

そして、損害が出てしまったことにより、

「世間は仮想通貨は危ない物なのではないか」

と思うようになり、

仮想通貨の信用が下がってしまいます。

さらに、
当時マウントゴックスのCEOだった
マルク・カルプレスも逮捕されてしまいます。

マルク・カルプレスが逮捕された経緯

当時、ビットコインを知り取扱所を作った創業者のジェド・マカレブでしたが、
ビットコインの管理方法が難しく頭を悩ませていました。

そして、当時20代だった頭のいい青年に

「タダで取扱所をあげるから、運営しててみないか?」

と持ちかけます。

その青年がマルク・カルプレスです。

マルクはその株を少しだけジェドに渡し、その代わりに取扱所を手にしました。

ところが、
その後マウントゴックス事件で取扱所はハッキングされてしまいます。

さらに、
ハッキングの前後に会社の会計の動きが怪しかったので、

この事件はマルクが仕組んだ自作自演で、
盗まれたお金はすべてマルクが持っているのではないかという疑いで逮捕されます。

このことで、世間は仮想通貨は危ないという認識になりました。

そして、
その裁判は2019年まで続いた結果、
マルクは事実上の無罪を勝ち取りました。

そんなマルクが書いた本が、
今回の参考文献の著書となります。

このマウントゴックス事件により、
仮想通貨の知名度が一気に上がり、世間が認知するようになります。

キプロス危機とビットコインの関係

キプロスとはギリシャの下にある地中海の小さな島国です。

ギリシャ危機によって、ギリシャが財政危機に陥った際に、それと連動してEUの政策としてキプロスの銀行にも税金を掛けるということになりました。

しかし、
これが大きなトラブルを生みます。

それはなぜか。

キプロスは小さな島国であまり観光資源がなかったため商売がしづらい国でした。

そこでキプロスは、法人税を格安にすることで、キプロスでの会社設立を特別優遇し、その手数料や税金を国の財源としていました。

そんな中、
キプロスの銀行にも税金が掛けられるという情報が流れた途端に、多額の預金を一気に引き出すということが起きました。

これによりキプロス危機が発生しました。

引き出した預金をビットコインに投資した理由

キプロスの銀行から多額の預金を引き出した人達は、そのお金をビットコインに投資しました。

その理由は何かというと、
国の財政に左右されない通貨を選んだからです。

つまり、
国が担保を保証したお金は、その国の財政破綻した途端に引き出すことが出来なくなるなど、信用が出来ない時代になったからです。

そしてにわかに仮想通貨がブームになっていきます。

改正資金決済法

この仮想通貨の流れを知った日本が改正資金決済法を出します。

これは何かというと、

「仮想通貨は決済に使える財産的価値がある」

と日本が認める法律です。

つまり、
国が仮想通貨に一定の価値を認めたということです。

これを受けて、
日本に仮想通貨取扱所が一気にできました。

そして、
仮想通貨の価値もどんどん上がり、1BTC=2,000,000円にまで到達しました。

コインチェック事件

そんな中、マウントゴックス事件に続いて、日本でも仮想通貨流出事件が起きます。

流出した仮想通貨(NEM)の額はなんと580億円にも及びました。

なぜNEMは流出したのか

そもそもこの事件は、
日本の仮想通貨自体が狙われたのではなく、コインチェックという取扱所が狙われました。

なぜ狙われたのかというと、
コインチェックのシステムに欠陥があったためです。

その欠陥は、銀行に例えるとわかりやすいです。

銀行には[窓口]とその奥にある厳重な[金庫]があります。

窓口にはお客様がすぐにお金を引き出せるように、ある程度の小額な現金が常に置いてあります。

一方で、
金庫は厳重なセキュリティにより、引き出すには時間がかかるが多額の現金が保管されています。

これを仮想通貨取扱所では銀行でいう

[窓口]をホットウォレットと言い、

[金庫]をコールドウォレットと言います。

コインチェックは銀行でいう[窓口]、つまりホットウォレットに全額を置いていました。

ホットウォレットは素早く引き出せるように、常にオンライン状態となっている為、ハッキングされ流出してしまったのです。

コインチェックとマウントゴックスの共通点

この2社には共通点があります。

・社長がまだ20代だった

・取扱所のシステムが確立される前に人気が出てしまった

通貨としての仮想通貨

仮想通貨は通貨としては不安定である。

つまり、
まだ紙幣と同じような安定的な貨幣ではないのです。

投資としては面白い対象だが、貨幣としてはまだまだ課題や問題点があるようです。

Facebookが仮想通貨へ参入(Libra)

ビットコインバブルの時に沈黙を保っていた、巨大な帝国企業が、ついに沈黙を破ります。

その帝国企業がFacebookです。

Facebookが仮想通貨事業に参入するのではないか、マークザッカーバーグが何が動いているらしいという噂は常々ありました。

そんなFacebookがついに名乗りを上げました。

そのサービスは「Libra」です。

この「Libra」がとんでもない物語を生み出そうとしているようです。

Libra(Facebook)は何がすごいのか

今までの仮想通貨が決済手段に使用できない理由は、仮想通貨自体の価格が不安定であったからです。

しかし、
Libraは「決済手段や価値の尺度を重視した仮想通貨」です。

つまり、価格が一定のステーブルコインとして利用されることを目的とした通貨です。

なぜ仮想通貨Libraは価格が安定するのか

理由は簡単です。

Libraのバックボーンとして、巨大な資本があるからです。

つまり、
巨額のお金をプールしておき、そのお金と交換できることがLibraの安定性を担保しているというわけです。

そして、ザッカーバーグが今まで沈黙していた理由がここにあります。

VISA,MasterCard,PayPal,eBayなどの名だたる金融組織と提携し、
Libraコンソーシアム(Libraを中心とした巨大な企業グループ)を設立していたのです。

ザッカーバーグの論法

「世界にはまだまだ、銀行口座を持たない貧しい子供達が沢山います。

そんな子供達にもFacebookの通貨は使いやすい。

銀行を使わなくても、スマホ1つであなたは銀行口座を持っているようなものです。

そして送金手数料は銀行手数料よりも格安で提供します。

さらに、バックにいる巨大な金融企業の技術と知識を集結して、とてつもないスピードと低価格の送金と決済をお約束します。

貧しい人も富める人も誰もが使いやすい通貨を用意しました。人類の進化は目の前です。」

ザッカーバーグの裏の意図

国や銀行に依存しない巨大な企業連合体により、Libraで世界の通貨を支配しようとしているのです。

FacebookやInstagramとLibraの口座を紐付けることで、今まで以上に個人の情報を得ることができ、
またそれを使用して、マーケティングをすることができます。

この状況をアメリカや国は黙っていない

FacebookやInstagramのユーザーは今や20億人と言われています。

さらに、安定的な通貨でどこの国でも使える通貨で、すぐにドルや円に交換できるとなれば、みんな使うようになるのは間違いないと言われています。

国はお金を刷り、経済や景気を調整をしています。

そして、そういった金融政策が行えることが国の特権でした。

つまり、お金を刷れることが権力なのです。

もし、みんながドルや円を使わずにLibraを使い出した時、人々の命運を握るのは国ではなくLibraコンソーシアムになるということです。

Libraの使用を国が認めるのかどうか、注目です。

まとめ

最後に、
強盗が銀行のお金を盗むのは怖いし不安だが、お金は怖くないし、とても便利なものです。

これと同じように、
仮想通貨取扱所でビットコインが盗まれるのは怖いし不安だが、仮想通貨自体は怖くないし、便利なものであるという認識が必要です。

おわり。

参考文献